禁煙しようと思った。
結構急だったが、禁煙の思いは(いつかは…)とずっと心にあった。
じつは過去に二度、禁煙外来にも通ったのだがダメだった。
私が初めて喫煙したのは中学生だった。いたずら心で祖父の部屋にあったタバコを一本拝借して吸ってみた。
相当むせたが(おいしい)と感じた。
祖父の煙草は「峰」で、かなりキツいものだったが、それでも何故か美味しく感じてしまい、当時私は内心(ヤバいなぁ…)と思ったのを覚えている。
高校になり、吹奏楽部に入部。喫煙習慣はないし、お金もないのでタバコを買うこともない。そもそも未成年である。
しかし、隠れてタバコを吸っていた悪友に、いつだったか一本もらって吸ったことがあった。そのタバコは「ラーク」だったが、相当美味く感じてしまい、(こりゃいかん)と思った。
大学生でも引き続き吹奏楽部。周りに煙草を吸う先輩も多くいた。楽器を吹くことにも悪影響があるし、タバコを吸ってしまうとクセになると分かっていたので目をそむけていた。
20歳の時に韓国に留学した。そこではクラスメートのほぼ全員が喫煙者で、楽器と離れてしまったこと、成人したこと、韓国では煙草の値段が異常に安かったことが重なり、ついに(やはり)喫煙者となってしまった。
最初の禁煙は30歳半ば?頃。趣味の山登りが高じて肉体的にかなりキツくなっていた。雪山は特にしんどかった。
医者にかかり、順調に禁煙へと近付いたのだが、結局失敗した。
2度目は40歳過ぎ、山登りからクライミングに夢中になっていった頃。
この時も禁煙外来を受けたが失敗。
それからも(禁煙せんとな〜)の思いはあれど、なかなか実行できず。
今回は何故禁煙に踏み切ったのか。
一番大きなきっかけはコロナ自粛。3度目の緊急事態宣言。
過去2回はなんとかモチベーションを維持してトレーニング等を張り切って続けていた。
それは私にとって非常に辛いことだったが、なんとか耐えることができた。
しかし今回は、なんだか(もーしらん、どうにでもなれ)みたいな、何というかやり場のない怒りのような感情、過去の2回にもあったのだけれど、今回はもうホンマにアカンかった。
ずーっと続けていた体幹トレとストレッチもついにやらなくなってしまった。
楽しみはムスコと行くクワガタ採集だった。
不要不急の外出ではあるだろうが、誰にも会わない所へムスコと2人車で行くくらいはいいだろう。ああ、一度だけ人に会った。警察に職質された。「この辺は麻薬を吸いに来る人がたまにいるので気をつけるように」と注意された。
ブログにも書いたが、前回ムスコが1時間の格闘の末、バカでかいクワガタを捕まえた。

そのクワガタは本当に常識外のデカさでムスコも私も狂喜乱舞、興奮しまくりだった。
本当に大きなクワガタ、恐らくもうこの先お目にかかることはないだろう。一生に一度あれば相当運が良い、まあそれくらいの獲物だと思う。
その時、禁煙しようと思った。
緊急事態宣言中、クライミングもトレーニングも止めてしまい、せめて何か一つでも“成果”が欲しかったこと。一生に一度しかお目にかかれないクワガタが採れたこと。
これがきっかけだった。
それがたしか夕方4時頃。その時の持っていた煙草の残りは10本程。これを全部吸ったら煙草をやめてみよう、と思った。
そうして今日で一週間が過ぎた。

一日目、二日目は土曜日と日曜日、仕事は休みで部屋でずっと何か食べ続けて耐えた。
3日目は少し楽になるかと思っていたが、そんなことはなく、仕事はかなり辛かった。
しかもこの日辺りから、かなり強い頭痛がありこれにも参った。禁断症状で頭痛がすることがあるらしい。過去二度の禁煙の時はなかったのだが。
禁煙のブログにはよく、味覚が戻り食べ物が美味しく感じるようになって体重が増える、とあるが、私も例に漏れず急上昇中である。
ただし、食べ物が美味しく感じることはない。のべつまくなしに“ブラックブラックガム”を噛んでいるので、今現在も私の舌は半分麻痺している。
それでもなんやかんやと食べ続けるのは、自分を追い込むためである。もしまたタバコを吸ってしまい、禁煙に失敗したら。増えた体重だけが残るのである。これは私にはかなりキツい。何がなんでも禁煙だけは成功させないといけない。
緊急事態宣言も当分明けそうもないので、いっそ70kgくらいまで太ってやろうか、なんて考えている。
また、禁煙のブログでは「4日目辺りから深呼吸すると空気のおいしさが感じられる」とか書いてあったが、私は感じない。そもそも食い過ぎでずっと腹が苦しく、深呼吸できない。
禁煙アプリによると、今まで煙草に費やしたお金は680万円らしい。田舎に家が建つな。
(昔はひと箱200円とかやったから違うような気もするが)

体重は禁煙する前から増加している。クライミングせず、トレーニングも食事制限もしないのだから当たり前。禁煙してからずっとなんやかんやと食べ続けて今ではさらに増加中。
しかし。きっと近い将来、またダイエットをするだろう。
ダイエットはなかなか辛いものなのだが、恐らく次はそれほど苦しまないだろう。今のこの禁煙の苦しさに比べれば、絶食なんて軽いものだ。