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2016年6月 5日 (日)

チョークについて。

フリークライミングの“フリー”は、道具を使わない、の意味である。
エイドクライミング(人工登攀)、つまりアブミとかの道具を使って登るクライミングとの対義語である。

ロープやヌンチャクは、登るための道具ではなく、身を守るための道具。
ハーネスやヘルメットも同じ。
ヌンチャクはたまに、登るための道具と化すこともあるが、それを使って登っても、(フリーで)“登った”ことにはならず、“A0して(人工登攀で)登った”ということになる。

道具を使わないはずの“フリー”ではあるが、使う道具がある。
一つはクライミングシューズ、もう一つはチョーク、である。


私は、ほとんどチョークを使わない。
手汗をかかないからである。
仲間には羨まれる。
普通のクライマーは“ヌメル”ので、夏はオフシーズンらしいが、私は一向に平気である。
むしろ、皆がシーズンと言っている冬の方が、私は苦手だ。

冬、寒いのは苦手だ。
なんといっても、身体が温まりにくくて固く、腰の爆弾のリスクが高くなる。
厚着して登るので、登りにくい。
真冬でもTシャツやら、上裸の人を見ると、それだけで尊敬してしまう。

チョークを使わない私だが、チョークバックは持っている。
昔買ったもので、最初のうちは使っていた。
みんなが使っているし、普通に使っていたのだが、ある時、外岩に行った時、チョークバックを忘れた。
その時、チョークを使わなくても、何の不自由もないことに気づいたのである。
その後、ジムでも使わなくなった。
ジムではむしろ、登り終わった後にチョークアップされている。

チョークバックは、冬に使う。
チョークでなく、使い捨てカイロが入っている。
貧血気味の私は、血の巡りが悪い。
“血の巡りが悪い”と書くと“頭が悪い”と同じ意味みたいだが、まあ、それも含めて、なにしろ、血の巡りが悪い。
寒い時、冷たい岩を登っていると、指先、足先は、すぐに冷たくなる。
手を見ると、血の気がなくなって青くなっている。
ガミラス星人みたいだ。

以前、確か駒形岩へ行った時。
その時の駒形岩は染み出しで、結構濡れていた。
イサミンと染み出しがマシな“サイレントティアーズ”を触っていた。
イサミンは手汗が多い。
濡れてなさそうなサイレントティアーズだったが、結構濡れていて、
「うわ、ビショビショやん!」と私はすぐに降りてきた。

先に登ったイサミンに、「結構、濡れてんな」と言うと、
彼は「そうやな」と言いつつ、「でも、オレ、いつもこんなカンジやから」と言った。
私は(マジ!?)と彼の顔を見たが、イサミンは至って普通だった。
(どうやら冗談ではなさそうだ)
私は思った。
(ヌメリ手の人は、いつもこんなカンジか。そりゃ…大変やな…ご愁傷さま。)
ハッキリ言って、登れる気がせんかった。

クライミングシューズ同様、以前はチョークにもこだわった。
普段は粉チョーク、本気トライは値段の高い、液体チョークを使った。
液体チョークをつけると、“ヨシッ”という気持ちになった。
それでいい結果が出た時もあれば、気持ちが空回りしたこともあった。
今思えば、あれは“スイッチ”だったんだと思う。
もちろん、今は“スイッチ”なんていらない。

本気トライの時は、勝手にスイッチが入り、脳内麻薬が分泌される(と思う)。
鼓動が増し、緊張しているのがわかる。
深呼吸を繰り返し、緊張を抑えようとするが、収まるものでもない。
(しゃあないな)と思う。
手に汗をかいている感覚はあるが、全然かいてない。カラカラである。
目を瞑って、もう一回深呼吸。
“ヨシッ”

あー、クライミングしてぇな…

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コメント

チョークはドーピングか否か…という話を聞いたことがあって、なんとなく使うことに抵抗があったのだけれども、単なる体質で、しかも自分が汗をかくほうのタイプかも〜と気付き、今チョークバックを探しています。それで最近見かけたふた口のバック、左手でも右手でも同じ角度で手入れできる、というのが面白く、FBで友達に紹介してたら、全くクライミングを知らない友達がそれを飴入れだと思い込んで、「ハードな運動するから栄養補給は大事よね」とコメントしてくれたのが最近のツボでした。笑
カイロか〜チョークバッグも奥が深い。
長々失礼しました〜

チョリオさん、こんばんは。
最近ブログの更新を楽しみにしている私です^ ^
怪我早く良くなるといいですね。
少し前に、会社の先輩にアドバイスされました、怪我はちゃんと直せよ、俺らの年代は一度壊れると元に戻りにくい…なるほどと思いました、私も数年前の肉離れが寒くなるといてててっと。
ぜひ一度チョリオさんに一手ご教授いただいたいので、その際はぜひよろしくお願いいたします。
チョーク…私はおまじないと思ってます汗

miyuさん、コメントありがとうございます!
チョークがドーピングか否か…ですか。私は聞いたことないですね。岩も汚れるし、使わないに越したことはないんだろうけど、使わないと登れない人が殆どなんで、やっぱアリでしょう。
ふた口のチョークバックも見たことないです。私ならホントに飴入れるかも。甘い物大好きやし!

かめいしさん、コメントありがとうございます!
楽しみにしていただいて嬉しいです!でもちょっとプレッシャーやな…
私、前にも書いたけど、教えるの下手ですよ。言う台詞は大体決まってます。
「ガンバ」「気合」「根性」
気合と根性があれば、11aくらいまではなんとかなりますよ!(ウソです)

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