クライミングのこと。6
今の自分にとって、クライミングがどれほどの楽しみだったのか、というのを身を持って実感している。
クライミングは楽しい。
外岩で、風を受けながら、陽を浴びながら。
ジムで、皆でワイワイ言いながら。
今、私はクライミングができない。
どころか、まともに歩くことさえ、できない。
なんて、つまらない…
ま、自業自得やし、しゃあないな、と思う。
せめて、肘が万全なら、腕のトレーニングができるのに…
と未練がましい想いもあったりする。
左足の踵を痛めて、変な歩き方しかできなくなり、治ったはずの右足もちょっとおかしい。
右足への負担は相当なものだ。
色んなものをつかまりつつ、無理に歩くからか、肘もおかしい。
“歩けない”ということが、どれだけ大変なことか。
そら、クライミングどころやないわな。
ヒマなんで、こうしてブログを書いていたりする。
先週K本ちゃんと、備中元祖奥の院へ行って思ったこと。
ビレイしながらK本ちゃんの登りを見ていて、(こうしたら楽に登れるのに)というのが分かった。
普通の人が聞いたら、「そんなん、当たり前やろ」と言われそうなことである。
大体、私くらいクライミングをやっていて、似たようなグレードを登っている人は、他人に教えるのも、それなりに上手くなっている。
みんな同じようなムーブでつまづき、登れなくなり、教えてもらってやってみると、(おお!)となるのである。
しかし、私は、教えるのが下手だ。というか、教え方が分からない。
大抵、フリークライミングで最初に覚えるムーブは“フリ”なのだが、それすら、私は教える自信がない。
先ほど書いた、元祖奥の院での件のムーブ、実は“フリ”である。
“フリ”を使えば楽に登れるのに、と気付き、やってみると、果たして登れ、彼女はRPを手にした。
自分でそのことに気付けたのは、大きな成果である。
「教える自信がない」と書いたが、ひょっとしたら、今なら教えられるのかもしれない。
元祖奥の院以降、ジムにも行ってないのでわからないが。
そういえば、一緒にジムに通うイサミンは、“フリ”を教えるのが上手い。
彼はクライミングを始めた頃、ボルダーの前傾壁で、フリの練習を何度もやったらしい。
彼が後輩に教えているのを聞いていると、私も(なるほど)と思う。
今まで、何人も初心者を見てきた。
そういう人達と比べ、私はきっと、ほんの少し、クライミングの才能があったんだろうな、と思うようになった。
こう書いてしまうと、高慢な感じやけど…
と言っても勿論、天才なんてものでもなく、ごく些細な差である。
期間で言えば、2週間~半年くらい思う。
本当に高い壁は、この後、いくつも待ち構えている。
“高い壁”と思っていたのも、何年か後には(それほど高くなかった)と思えるかもしれないが。
クライミングを本格的に始め、ジムに通いだした当初、私にはおかしなプライドがあった。
今でこそ“おかしな”ことだが、当時、数年前の私は大真面目だった。
“5.10a”以下で墜ちないこと。
最初に行ったジム、パンプで私は仲間にそそのかされ、10aを10本程登った。
今でも覚えている。その仲間は、何も知らない私に、
「チョリオ、5.8とか5.9は年寄りや子どもが登るやつやから、触ったらアカンねん」と言った。
ムチャクチャなオッサンだった。ちなみに今の山岳会に入る前である。
当然、トップロープもナシ。いきなり初心者に10台のリード。
初めてだから、クリップも上手くできず、逆クリップやZクリップもした。
今思えば、こんな怖いヤツ、よくビレイしてくれたな、と思う。
しかし、それでも、10aでは墜ちなかった。
10bや10cも、何本か登れた。
最初がそんなだったからか、変に意地を張って、10a以下では墜ちない、と決めたのだろう。
腕が張って墜ちそうになり、クリップを飛ばして登ったりもした。
ビレイヤーのイサミンに「止めてくれ」と叱られもした。当然だ。
ジムに通い始めて1年程経ったある日、パンパンにパンプした腕で10aのルートにトライし、普通にフォールした。
登っている時は(墜ちるもんか)と必死だったが、墜ちてみたら、別に悔しくもなかった。
次にやった5.9でも、フォールした。
なんで、あんなにこだわっていたんだろう?
さて、ちょっと戻って、私は人に教えるのが下手なこと。
人が登っているのを見て、手足をどう動かせばいいのか、分からない。
ジムだと、ホールドが決まってるし、低いグレードなら大体分かる。
そもそも、ホールドの向きが、登り方を教えてくれている。
人に教えるどころか、自分がどうやって登ったのかも分からない、覚えていないことが多い。
自分が登ったルートを、後で他の人が登り、「チョリオさん、足、ここに置いてたよね?」とか訊かれても、「ん?せやった、かな?」といった按配だ。
以前このブログでも書いたが、私は登り方を教わったことがない。
課題を落とすのに、仲間にムーブを教えてもらうことはある。
そういうのではなく、“フリ”はこうして、とか、こういう時は“フラッギング”で、とか。
全て自己流。
思えば“フリ”や“フラッギング”は、最初からできていたように思う。
私が心がけていたのは、ただ一つ。
“自分の体に聞く”ことである。
どうすれば、楽な姿勢になるのか、自分の体が、自然に動くに任せる。
このことは、ムスコとジムに行った時に分かった。
ムスコにムーブを教えたことはない。
ムーブを教えなくても、ムスコはムーブを駆使して登っていた。
“フリ”や“フラッギング”を使っているムスコを見て、
(あ、オレもこんなんやったんやろな)と思った。
…ヒマに任せて、思うがまま書いてたら、なんや支離滅裂になってしまった。
読み返してみると、ちょっと嫌味な文章やし。ま、別にええか。
最初に10台が登れたからって、別になんということもない。
クライミングは奥が深い。
やればやるほど、自分の弱さが見えてくる。
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足は、かなり酷いみたいですね。でも、神様が、「お前、ちょっと一服せいや!」って下さった時間だと思って下さい。
人間、どんどん歳を重ねて行きます。
今まで何の苦労もなく、できていたことも出来なくなってきます。
自分って、こんなに軟弱やったん?と愕然とすることもあります。
それでも年齢を素直に認めてそれなりの工夫や努力をしていくことが大切なんとちゃうかなって、思ってます。
フリ・フラッキング・・・・全くできません。
数十年、岩と正対で向き合ってきた身体は、簡単には、動いてくれません。
でも、こんな私でも人の登りを観察して、コツコツと努力していけば、少しは、できるようになってくるんだなぁ・・・って、実感しています。
今の私にとっては、フリーのクライミングは、「楽しみ」の世界です。
また、チョリオさんに「ビレイお願いします」って言えるよう頑張りますね。
お大事に。
投稿: mayumi | 2016年6月 4日 (土) 08時14分
この前は要らんことを書いてごめんなさい。
おまけにいつものネームでなく、ついイニシャルで書いてしまいました。
オバサンのたわごとはリセットしといてください。
それとヤマレコに同じネームで日記書いてます。
少しはどんな奴かも、全くたいしたことないことも
わかるので、よければ見てください。
(山行記録は書き方わからなくて!基本PC苦手です。)
しばらくは何も書きません。本当に余計でした。
投稿: KI(pahotti) | 2016年6月 4日 (土) 10時48分
人にモノを教えるって難しい…ですよね。
自分の教え方どうなのか、それを知ることも、また難しい。
自分はチョリオさんのことを勝手に師匠と自分のブログでも紹介させてもらってますが、
教わるほうからすれば、色んな岩場にご一緒させていただき、登りを見せてもらい、シンプルにクライミングを体験させてもらう。
これだけで、数えきれないほどのことを教わっている気がします。
もちろん、それ以外にも沢山教えてもらってますが…(;^_^A
先日、オンサイトとフラッシュは大違いやな〜、ということが分かりましたが、登りを見せてもらうだけでも、そこから教わることは沢山あります。
結局、クライミングは自分でやってみての世界のような気がします。
だから、そこでの発見や達成感が自分のもののように思えて、それの虜になってしまう。
クライミングは奥が深い…。
まだまだ自分は入口に入ったばかりですが、これからもよろしくお願いします。
少しぐらい休んでも、人間の身体の回復力はなかなかのもんです。
自分も一年前は正直もうアカンと思ってましたが…。
どうか焦らず、お大事に。
投稿: taniyan | 2016年6月 4日 (土) 17時56分
mayumiさん、コメントありがとうございます!
>フリ・フラッキング・・・・全くできません。
最初はできなくても、すぐにできるようになります…って、もう使ってますやん!
それが最初からできようが、できまいが、大した差ではありませんよ。
>自分って、こんなに軟弱やったん?と愕然とすることもあります。
ホンマですか…?“鋼鉄の肉体”を持つmayumiさんが?
…あんまり説得力ないですね(笑)
>また、チョリオさんに「ビレイお願いします」って言えるよう頑張りますね。
これは楽しみ!こちらこそよろしくです!
投稿: チョリオ | 2016年6月 4日 (土) 18時43分
pahottiさん、コメントありがとうございます!
たわごとなんて、とんでもないですよ!これからもコメントよろしくお願いします。
それにしても、pahottiさんは女性だったんですね…私、勝手に男性だと思い込んでました…
投稿: チョリオ | 2016年6月 4日 (土) 18時46分
taniyan、コメントありがとう!
taniyanにそう言ってもらえると嬉しいわ。ありがとね!
クライミングのいい先生というのは、「教えすぎない」先生だそうです。
登り方を一から全部教えてしまうと、そのルートは登れても、他のルートでは登れなくなるかららしい。
自分で考えて、その登り方で登れたら、嬉しいし、登り方を考えるのもクライミングの内だと思います。
オレの場合は、教えたくとも教えられへんねやけどね(笑)
>自分も一年前は正直もうアカンと思ってましたが…。
そっか、あれから1年位やな。mayumiさんと違って(失礼)説得力あるなぁ。
taniyan、よくぞここまで、やなぁ。それに比べたらオレのは軽い軽い。ま、しっかり治すよ。
投稿: チョリオ | 2016年6月 4日 (土) 19時48分