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2010年11月12日 (金)

唐松岳 2010年11月6日〜7日

思い返せば4年前、2006年の9月。私は単独で後立山の峰々を縦走した。
雨男の私にとって、奇跡のような晴天続きで夢中になって絶景を写真に収めていったのだった。
当時の記事

(この、ただでさえカッチョイイ山々が雪を纏えば、どれほど素晴らしいだろう)
「雪山5割り増し」
これは私の持論である。だいたいどんな山でも、
雪を纏えばカッチョ良さが最低5割り増しになる、と思うのだ。
ただし「雪山5倍」つーのもあって、
これは雪が積もれば夏より5倍ほどシンドイ、ということだ。

是非、見てみたい。最初に計画したのは2年前の11月。
しかし悪天予報であったため、中止した。
そしてその後も結局、一昨年は3度、昨年は2度計画し、全て悪天予報に阻まれたのであった。

5連敗。
いくら雨男といっても、なかなかできるものではない。
(もはやオレ一人では無理なのではないか?)
強力な晴れ男・晴れ女が必要である。
こうして私はShigeoさん・Chikaさん夫妻に声を掛けたのだった。

後にK坂さんも加わり、メンバーは4人となった。
だが、問題発生、この時期はゴンドラが動いていないとのこと。
さらに黒菱林道も通行止めとのことで、他の候補を探したりもしたのだが、
私はやっぱり、八方尾根から唐松岳を登ってみたかった。
それにゴンドラ分歩いたとしても、たぶんこの時期、他の候補より楽なのでは、と予想され、
結局当初の予定通り、唐松岳に登ることにした。

そんなこんなで11月5日の晩、
我々4人はShigeoさんの運転するデリカ号で八方へと向かった。
到着は日付が変わって6日の2時過ぎ。
登山道がある(らしい)スキージャンプ台辺りをウロウロする。
道らしいものは見当たらず、ダメ元で黒菱林道に行ってみると…

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Chikaさん写

(こ…これは…)
ロープが張ってあるだけ。
ほんの少し、犯罪の香りがしなくもないが、難なく通り抜けることができた。

早朝5時半、けたたましいアラームが車内に響く。
(うっさいのぅ、誰のケータイじゃ!?)
私のだった。すいません…
他の3人はまだ眠っている。私は撮影機材だけ持って外に出た。

すでに東の空は、仄明るく橙色のグラデーションをなしていた。
ウロウロして撮影ポイントを探すが、建造物が多く、なかなか見つからない。
朝っぱらから低血圧の私には少々ツライが坂をどんどん登っていった。

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もうすぐ夜が明けそう…

結局リフト1本分、200mほど登った。
(えらい登らされた…)ぜいぜい肩で息をしながら撮影ポイントを探す。
(あった!)ベンチがあり、展望の看板が見える。

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ずいぶん登った…下にデリカ号が写っている。

行ってみると、息を呑む光景が広がっていた。
白馬三山だった。
薄く色づいたその神々しい姿に陽が差すのを、私はじっと待った。

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来た…
ついに朝一番の日光が差し、同時に神々の山は刻一刻と色彩を変えてゆく。
淡いピンクから濃い紅へ、橙へ…
私は夢中になってシャッターを押した。
夢中になりながらも(1枚30円)と冷静に計算、
これまでならフィルム2本一気撮りするところだが1本に抑えた。
(※注:例によってフィルムの現像が間に合わず、今回はデジカメの写真のみです。)

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デジカメでの撮影。フィルムカメラの写真はまた今度。お楽しみに。

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待望の日の出。

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東、妙高方面。

たとえこの先、ガスで真っ白になって全く景色が見られなくなっても後悔しないだろう、
そう思えるだけの、いい光景だった。ぼーっとして下っていると、氷で足を滑らせ右手を着いた。
その衝撃が痛めている右肩に響き、激痛が走った。
しばらくうめきながら(うまい具合に治ってくれんかな)とか思ったが、
そうはいかず、どうやらさらに悪化したようだ。
それでもいい景色を見た嬉しさは消えず、車の前で迎えてくれたShigeoさんに思わず抱きついてしまった。

車に戻ると、他のみんなは既にほとんど準備が終わっていた。
「ゆっくりしいや」というShigeoさんの言葉に甘えながらも、急いで朝食と準備を済ませた。

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私のザックは右から2番目。

7時40分、いよいよ出発。快晴で風もない。歩き始めてすぐ暑くなり、
私が撮影していたところまでひと登りして休憩、各々上着を脱いだ。

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ChikaさんとShigeoさん。

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K坂さん写。

休んでいると運休中のリフトが動き出し、何人か登ってきた。
どうやら点検をする作業者のようだ。彼らはさらに上に登るリフトの点検に向かっている。
「こらひょっとしたらリフトに乗れるかも。」
早速私が訊きに行ったが、やはりダメ。
通行止めの黒菱林道を通って楽をした上、運休中のリフトにまで便乗しようとは。
人間、いったん楽を覚えたら、あきまへんなぁ…
さらに…
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コレ、動くんちゃいます?・・・こらこら。

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鹿島槍ヶ岳と五龍岳。

少し登って9時5分、八方池山荘に到着。標高1850m。
リフトが動いていれば、ここまで誰でも登ってこれる。
山荘で声を掛け、おばさんに挨拶をしておいた。
また少し休憩した後、出発。

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八方池山荘より。リフトが動けば誰でも見られる景色である。

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白馬三山をバックにK坂さん。

左手に五竜と鹿島槍。右手に白馬三山。不帰ノ嶮も見え始めた。
青い空に白い峰々。私が夢見た光景である。
私は有頂天だった。
「ゆっくり行こうやぁ」時折後から声がかかる。ええ、のんびり登りますとも。
黒菱林道が使えたおかげで時間はたっぷりある。

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振り返ると八方池山荘が小さく見える。

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雪山を堪能。

9時40分、八方山に着いた。標高1974m、黒菱平から約500m、2時間。
悪くない。それにここからしばらくなだらかになる。
ここで少し休憩し、もう少し登った第2ケルンのトイレで大休止を取った。

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ちょっとお疲れのShigeoさん。

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こちらはまだまだ元気なK坂さん。

11時、八方池。池は凍っていた。
約600m登ってきたので、ここで標高的にはだいたい半分。やれやれ。
ここまでは冬でも観光客が登ってくるだけあって、見事な景観である。
絶景を目の当たりにしながら、私は至福の一服を点けた。
(はぁ…ええ景色やなぁ…)
ここまでは順調であった。
周りの景色を呆けたように見とれている私には、
この後のことなど想像できるはずもなかった。

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八方池と白馬三山。

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年賀状用の写真撮影。

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積雪が多くなってきた。
膝まで潜ると格段にペースが落ちる。疲れも倍以上だ。
K坂さんとトップを代わりながら進む。

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Chikaさん写

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Chikaさん写

悪戦苦闘が始まった。
(これぞ雪山の醍醐味!)と息巻いていた私もなかなか進めず、
立ち止まって休む回数が増えてくる。
時折声を出して気合いを入れ、雪をかき分けて進む。
(キツイ…)
これほど積雪があるとは誤算であった。
(ワカンが要るやん…)
しかし誰もワカンを持ってきていない。私は間違っていた。
八方尾根は風が強く、雪が飛ばされ、この時期それほど積雪はないだろう、と。

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ハマるK坂さん。

「チョリオさん、あそこ」後からK坂さんの声が聞こえる。
「もうちょっと行ったら、たぶん楽になるんちゃいます?」と先の斜面を指さす。うん、私もそう思う。
今歩いている藪っぽい所は足が潜るが、先に見えている斜面は凍って潜らなさそうだ。(ようし!)

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その斜面。

斜面に着いてみると楽になるどころか、もっとキツかった。
(アカンやん…)雪に足を取られてなかなか進めない。

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んん。ノーファインダー(デジカメの液晶壊れてる)ながらいい画が撮れた。

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白馬三山と自分の影。

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…なんて写真を撮っていたらずいぶん離された。

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遅れを取り戻そうと登る私。Chikaさん写。

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奮闘中のChikaさん。
しかしその頑張りとは裏腹に、足踏みしているようにしか見えない。

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尾根まで登った。とりあえず休憩。

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年賀状用写真2。

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Shigeoさん、かなりキツそう。

尾根から左の夏道らしいところを進む。
そこも積雪が多い。疲労困憊。
「もうちょっと先の、広い所で休憩しようや」後から声がかかる。
その「もうちょっと」が全然遠い。

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「広い所」に着くなりヘタりこむ。Chikaさん写。

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Chikaさんに大福いただく。激ウマ。

大福を食ってヘタりこんでいたのが13時44分。
ここで、どうしよう?とみんなで相談した。
八方池からすでに3時間。中間地点の丸山ケルンにも達していないのだ。
丸山ケルンは見えている。あと100m弱、登るだろうか。
「とりあえず、丸山ケルンまで」といったんは決まったが、
歩き始めてすぐ、丸山ケルンまで行っても良い幕営地があるとは限らないし、
深雪はまだまだ続きそう、そしてなによりも全員疲労困憊だったので、
「やはり、下りませんか」と提案した。

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とりあえず丸山ケルンまで、と進みかけるが…

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やっぱアカンわ…

提案は受け入れられ、テントが張りやすそうだった八方池まで下りることにした。

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下りると決まると早い早い。登りで悪戦苦闘した斜面。

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大きな樺の木。

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Chikaさん。

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ちょっと休憩。Chikaさん写

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さっきまで死にそうな顔だったK坂さん。

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15時20分、八方池に到着。登るのに3時間以上かかったのに、下りるのは40分ほど。
神々の峰に囲まれ、その頂が夕陽に照らされている。
絶好のロケーションである。ただ、山の向こう側に日が落ちるので、全体的には暗い。
早速、各々テントを張る。今回は共同装備はなく、各個人が自分の装備を準備してきている。
私はテントを張ったり、撮影場所を探したり、また写真を撮ったりと忙しい。
ようやく靴を脱いでテント内に落ち着いたところで、Chikaさんより牛タンの差し入れ。すこぶるウマし。

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絶景の中でのテント泊。

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K坂さん。やれやれの様子。

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白馬を眺めながら牛タンを食す。

夕食にインスタントラーメンを食べ、談笑する。
K坂さんとChikaさんはもちろん、お酒を飲んでいるだろう。
私もとっておきの葉巻を吸う。うまい。

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至福の一服。

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K坂さんにもお裾分け。

静かになった。K坂さんのテントからイビキが聞こえる。
皆、眠ってしまったようだ。私はまだ眠らない。
これからが楽しい時間だ。
iPodで音楽を聴きながら、カメラを持ってテントを出る。
風がなく、それほど寒くない。
辺りはすっかり暗く、満天の星空である。月もない。
テントから離れた所で、長時間露出で星や夜景を撮影する。
待っている間は星を眺めながら音楽を聴く。
これこそが、山での最高の贅沢だと思う。
(ああ…きてよかった…)
気持ちが高揚してきたので声を出して歌ってみる。
ちょっと動いて踊ってみる。
…40過ぎたオッサンが、真っ暗な山の中で唸りながら踊っている光景はおそらく凄まじいだろう、
と後からちょっと思ったが、この時私は頭がカラッポで幸福の絶頂にいたのである。

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ちょっと夜の愉しみへ…

撮影を終えてテントに戻ってみると、K坂さんのテントに灯りが点いている。
声を掛けてみると、起きているようだ。私はまだ眠くないので、少しお邪魔して、話しをした。
K坂さんに訊いてみた。「あの…変な声とかしてませんでした?」
「ああ、なんか妙な声が聞こえていたな」私の声だ…恥ずかし…

K坂さんのテントを辞して自分のテントに戻ると、今度はShigeoさんが起きている気配。
お腹が空いたので、ラーメンを作って食べているとのこと。
ようやく私も寝袋に入り、音楽を聴きながら眠りに就いた。

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今回のコンロはジェットボイル。省エネで、一泊の雪山なら小さなガス一つで楽勝だ。

…うっさいのぉ、誰やねん…
ああ、そうか。オレやオレや…慌ててけたたましいアラームを止める。
外を見ると今朝もいい天気だ。早速朝の景色を撮影しに行く。

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K坂さん写

K坂さんと二人で、日が出るのを今か今かと待っていたが、
結局日の出は雲に隠れて見えなかった。惜しかったなあ、と言い合っていると、
後からChikaさんの呼ぶ声。「チョリオさ〜ん!たいへ〜ん!」

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朝の景色とK坂さん。かっこいい。

テン場に戻ってみると私のテントがない。
風で飛ばされ、見事に崖の下へ落ちている。
そういや昨日はあまり風もなかったし、早く撮影したかったので
慌ててたん設置したんやな。わはは。反省、反省。
K坂さんに手伝ってもらって無事回収。
装備を点検してみると、テントシューズが片方なくなっていた。

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テント回収の様子。Chikaさん写

朝食を済ませ、撤収準備を終えて、下山開始。
八方池まで下りてきているのでずいぶん早くに下山してしまうだろう。
好天と絶景がもったいないので、「ゆっくり下りましょうね」と促しながら歩く。
それでも2時間ほどで黒菱平まで下りてきてしまった。

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雄大な景色の中を下山。

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唐松岳を振り返る。

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シュカブラ。

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この景色とももうお別れ。

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名残惜しいなぁ…Chikaさん写

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最後の下り。

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戻ってきました。

黒菱林道を車で下っていると、紅葉が目に付いた。
もうお終いの方だが、まだまだきれいだ。
しかし、こうして明るい時に見てみると、スキー場のゲレンデというのはかなりの急斜面である。
私は当初、黒菱林道が通れなければ、ゲレンデの下を歩いて行くつもりにしていた。
もしそうなっていたら…行けたとしても八方池まで登れたかどうか。
いずれにせよ、今回は下調べが足りなかった。私のミス。
とはいえ、まさか11月初旬にすでに腰まで潜る積雪があるとは…
さすがは豪雪の後立山である。いい勉強になった。

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下界はまだ秋。

下山後はみみずくの湯で汗を流し、Shigeoさんオススメのそば屋、まえだで昼食。
ボリューム満点の上、サービスの野沢菜がとても美味しかった。

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露天風呂から白馬三山が望めるみみずくの湯。その代わり外からも丸見えだ。

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こんな感じ。

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とっておきのTシャツです。

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おいしそうにビールを飲むChikaさん。まえだにて。

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まえだのそば定食。すごい量だ…

今回頂上は踏めなかったが、念願の景色が見られた。
またメンバーにも恵まれ、気持ちよく山を楽しめた。
最後にShigeoさん、行き帰りの運転ご苦労さまでした。

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記念撮影。

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コメント

 5倍増しのカッチョ良さと5倍増しの苦労。

楽しいさと苦しい息づかいが聞こえる様な
写真ですね。

苦しくても写真は撮る。

カッコイイ〜。

うねさん、コメントありがとうございます。
>楽しいさと苦しい息づかいが聞こえる様な写真ですね。

久しぶりに雪を踏めたのはよかったのですが、キツかったですわ。
でも十二分に楽しんできましたよ。

チョリオさん、こんばんは~♪

それにしても皆さんお元気だなぁ
テントが飛んで行っても余裕のチョリオさん
カメラを置いてなかったからかなぁ

じゅんさん、コメントありがとうございます!
テントが風で倒れてた、てのは何度かありましたが、
飛ばされたのは初めてでした。油断大敵、反省、反省。

>カメラを置いてなかったからかなぁ

あ、そういえば撮り終わったフィルムが入ってました。危なかった…

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