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2009年12月 2日 (水)

燕岳・大天井岳 単独(2)09年11月21日〜24日

11月21日・1日目
 夜中の3時。中房温泉駐車場に着いたオレはすぐに外に出て見上げた。満天の星!
「よっしゃ!ええ天気や!ほな、登ろか!」(えっ?)
「さあ、準備準備!」(いや、寝えへんの?)
「準備完了!」(真っ暗やで?)
「はい!番号!!」(…いち?)
「よし!出発!!」
とまあ、バカな独り芝居をするほどオレのテンションは高かった。さらに快晴、満天の星が後押しし、きっとコーフンして眠れないに違いないから登ってしまえ、と考えたのである。もはやお馴染み(?)の夜間登山である。できれば日の出までに合戦沢ノ頭まで登りたい。という思惑もあった。というのも週間予報によるとこの先の天気はあまりよろしくない。この日の朝が最初で最後のチャンスかもしれないのだ。オレは鼻息荒く、真っ暗な登山道を歩いていった。

 燕岳には以前一度だけ登ったことがある。夏だった。この登山道は北アルプス3大急登などと呼ばれているが、道がうまく付けられているせいか、さほど急登を感じずに登ることができる。第一ベンチでアイゼンを付けた。第二ベンチを過ぎ、第三ベンチ。順調だ。出発して2時間も経っていない。日の出に間に合いそう…いつの間にか星が見えなくなっている。そういえばさっきからサラサラと…木に着いている雪が風で落ちてきているとばかり思っていたが…雪降っとるやんけ!出発時の快晴はどこへやら、木々に囲まれて気付かなかったが、いつしか天候は悪化していて雪が降っていた。(さすがオレは雨男)急激にヤル気を失い、タバコを吸い、歩く速度はガックリ落ちた。

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おぼろ月ならぬおぼろ太陽。

 富士見ベンチで霞に浮かぶ日の出を見、合戦小屋に着いたのは7時12分。小屋に入れたので30分休憩した。見晴らしの良い合戦沢ノ頭まで登ったが、当然真っ白。合戦尾根に出ると風が強い。面白くもない真っ白な景色の中を登っていき、燕山荘に着いたのは9時16分だった。

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合戦小屋。

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ハナミズ、デテマスネ。

 燕山荘はこの時期でも営業している。非常に心強い。中に入り、少し休憩させて下さい、と頼んだ。小屋の方は何もかもお見通し、といったような笑顔で頷いて下さった。20分後、出発!(え!?どこ行くねん?)大天井岳!(吹雪やで?)これぐらいの風がなんぼのもんじゃ!明日から天気はもっと悪くなるんや、小屋で足止めなんてマッピラや!意を決して外に出た。「っしゃぁ!行くぞ!」

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燕山荘到着。

 天気は最悪ではない。たまにガスが切れると太陽が見える。しかし稜線の風はハンパではない。山に来る前に耐寒訓練とかやってたけど、屁の役にも立っていないような気がする。せいぜい鼻クソくらいか。半時間ほど進んだ。ガスの向こうにうっすらと蛙岩が見える。ダメだ…今のオレの体力ではとても大天井岳までは行けまい…オレは烈風に叩きのめされながら来た道を戻り、再び燕山荘に入った。相変わらず何もかもお見通し風の方に「すいません、受付、お願いします」と小声で言った。「お泊まりですか?」「…はい」(え?テントちゃうの?)「食事は?」「えと、夕食を…」(え?小屋でメシ食うの?)じゃかましいわ!オレはもう一人のオレを抑えた。テントを持ってきながら布団で寝ることに何故だか少々後ろめたさを感じながらも、寝床に案内されるやブッ倒れ、泥のように眠り込んでしまった。

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烈風に叩かれて燕山荘まで戻ってきた。マツゲ、コオッテマスネ。

 14時半頃、目を覚ました。ガラガラだった小屋にけっこう、人が入っている。三連休だからかお客さんは多いようだ。タバコを吸いに外に出た。雪は降っておらず、だいぶ明るくなっていた。ガスは相変わらずだが、そばにいる登山客が、さっきヤリ、見えたのにねぇ、とか言っているので天候は良くなってきているようだ。まだ時間もあるし、燕岳に登ろうか。予想以上に体は疲れていた。引きずるようにのろのろと歩いた。イルカ岩、メガネ岩。懐かしい。頂上に着いたのは16時32分。すでに誰もいない。西の空は晴れてきて槍ヶ岳も少しだけ、姿を見せた。(晴れそうだ…)明日は大天井岳、行けるかも。

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大天井岳。

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燕岳でバンダナショット。

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燕岳。

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奇岩と漏光。

 小屋に戻り、夕食。豚の角煮、魚のグラタン、具沢山のお汁、他諸々。豪勢だ。食事の後、アルペンホルンの演奏も聞けた。さすがにナンバーワンの呼び声高い燕山荘である。タバコを吸いに外に出るとすっかり晴れていて星が出ていた。昼間に結構寝たから大丈夫やな、今夜は思うさま星を見よう。

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燕山荘での夕食。激ウマ。

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アルペンホルン。ちょっと吹いてみたかった。

 小屋の中はいつの間にか満員だった。隣のオッサンは既に寝ていた。オレは寝床でとっておきのISO400のフィルムをカメラに装填し、三脚を持って外に出た。20時過ぎ、月は既に落ちている。ため息が出る程の、満天の星。北側、燕岳を入れてシャッターを押した。小屋に泊まっている殆どの人が恐らく撮影目的らしいのだが、星の撮影をしているのはどうやらオレだけのよう。時折星を眺めに外に出てくる人はいたが。

 さ、寒いのぅ…いくら星がキレイだといってもずっと外に居られるものではない。シャッターを押している間、小屋に入って体を温めた。うまい具合に「岳」の10巻があったので、それを読んでいた。眠ってしまうのが惜しい程の星空だったが、1時か2時頃、寝た。

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燕岳と星空。クリックすると大きくなります。

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コメント

( ^ω^)おっおっおっ真ん中は北極星ですか?
でも綺麗な星空ですねぇ。
チョリオさん、寒いのに夜外に出る気持ち解りました」。

お久し振りです^^

燕岳懐かしいです
イルカ岩の写真は今もWCに貼ってあります^^;

星空素晴らしいですねぇ
宇宙って感じがします^^

途中引き返し小屋泊まりの夕食 結果的に大正解の判断だったようですね 2日目以降の上天気がご褒美となりましたね

越路さん、まいどで〜す!
越路さんと一緒に行った立山でも
外に出たり入ったりしてましたもんね…
騒がしくてゴメンなさいね。

おかんさん、ごぶさたです!
>燕岳懐かしいです
>イルカ岩の写真は今もWCに貼ってあります^^;
今回、イルカ岩は写真撮りませんでした。
天気がイマイチだったもんで。
それにしてもイルカとメガネは納得できるんですが、蛙は、ねぇ…

>星空素晴らしいですねぇ
>宇宙って感じがします^^
星、すっごく良かったです。キレイでした。
この日は月の入りが19時と早かったんですよ。

じゅんさん、いつもコメントありがとうございます。
>途中引き返し小屋泊まりの夕食 結果的に大正解の判断だったようですね
さすがに徹夜ではきつかったです。

>2日目以降の上天気がご褒美となりましたね
はい!もう山の神サマに感謝です!

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